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これから税理士として独立を考えている人にとって、税理士業界の現状把握は必要です。資格だけでは食えないといわれる昨今、独立して稼げる税理士になる未来はあるのでしょうか。資格試験受験者数と登録者数の推移から、税理士の業界事情を探っていきます。
一時は、増加傾向にあった税理士資格試験の受験者数ですが、ここ近年は減少傾向にあります。
平成24年度では48,123人と5万人に迫る勢いだった受験者数ですが、平成28年度は35,589人に。この4年で1万人以上も税理士の受験者数が減りました。
この数字を見ると、税理士の人材不足が期待でき、「仕事にあぶれる」税理士はいなくなるような気がしますが・・・・・・。やはり世の中、そう甘くはありません。
受験者数の減少に相反するように、実は税理士の数は年々増えています。
下記表をご覧ください。
平成22年度 72,039
平成23年度 72,635
平成24年度 73,725
平成25年度 74,501
平成26年度 75,146
増加率はそれほど多くありません。毎年1%程度です。しかし、1万人受験者が減っているのに反しています。
この理由はいくつか考えられますが、一つは税理士になる道が資格試験合格だけではないことが挙げられるでしょう。
上記の登録者のうち、国家試験合格者は半数に足りません。約55%が大学院卒や税務署OBなどの試験免除者だということです。
これ以外に税理士の登録者数の大きな増加原因として考えられるのは、税理士の高齢化、公認会計士の存在が挙げられるのではないでしょうか。
税理士の登録者数が増え続ける理由の一つ、税理士の高齢化。
ご存知のとおり、税理士には定年がありません。
そのため、税理士の平均年齢は50代、60代とも言われています。税理士の高齢化は進むばかりです。30代で独立したとしたら、税理士業界では若造です。たとえ40代であってもそうでしょう。
税理士として実績・経験も積んできたベテラン勢が多くいるというのは、独立したての若い税理士にとっては頭の痛い問題かも知れません。
また、会計士から税理士に登録する人が多いのも、税理士の登録者数増加に拍車をかけているといえるのではないでしょうか。
税理士の場合、税理士だけを競合にしていれば良いのではありません。業務領域がかぶるため、他士業もライバルになりえます。中でも会計士は一番の競合でしょう。
公認会計士は、年2回に試験が変更されたこともあり、旧試験のときよりも受験者数・合格者数ともに増加傾向です。税理士よりも増加率が多くなっています。
これらのことから、税理士業界の競争は激化しています。
価格競争になり、生計を立てられなくなる税理士も多くいます。
また、もう一つ頭の痛い問題が、インターネットの存在です。さきほど税理士の競合は税理士だけではなく、他士業や会計士も競合にあたると述べましたが、それだけでは足りません。
インターネットの台頭が、税理士の厳しい業界事情を加速しています。
クラウド会計や会計ソフトfreeなど、インターネット・技術の発達が税理士の会計業務を奪い始めているのです。うまく使えば業務効率化にもなるインターネットですが、税理士にとっては手放しで喜べる状況ではありません。
税理士業界は、まだまだ厳しい状態が続くと見て良いでしょう。安易に独立しても、税理士として稼げるようになるのは、そう簡単ではありません。
独立開業を成功させるためにも、しっかり独立準備はしておきたいところです。税理士であっても、集客やマーケティングの知識、営業のスキルは必須になってきます。この辺りをきちんと身につけ、戦略を立てた上で独立に臨んでいきましょう!
「稼げる税理士になるのも楽じゃない! 税理士の業界事情」はいかがでしたか?
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